やましいたましい

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似て非なるもの

二階堂和美/女はつらいよ




今回の二階堂和美のアルバムは「曲作りの段階で、もしどこかで聴いたようなメロディ、展開になったとしても、やめない、やりきる。」っというのがテーマだったらしい。わたしも曲をつくったことがあるので経験したことがあるが、曲をつくっていてノリにのってる時ほど、ふと振り返ってみると、あるところのワンフレーズが、かつて聴いたあの曲のあのフレーズ、展開だったりすることがある。たぶんその曲のイメージ、思念などが頭のどこかにファイルされていて、曲作りのきっかけでおもわぬところで想起されたのだろう。対外そういう時は、そのフレーズだけ無理やり別のフレーズに差し替えたり、あるいは違うコード進行にしたりして、そのメロディの雰囲気や、ある種シミ抜きみたいな作業をするのだが、仮にその作業がうまくいったとしても、その曲に対してなにか後ろめたさにも似たものをかんじてしまう。たとえメロディ、展開が似ていたとしても、最初に自然と出てきたメロディの方が、その曲の正解だったのではないかと後悔すらしてしまうのだ。
だからこの話を聞いたときに、なかなか面白い取り組みだとおもったし、正直興味をもった。結果「どこかで聴いたような〜」的なメロディ、展開などは、もっとも目立つ、曲のタイトルに冠をかぶせることによって、なんと浄化したのではないかとおもう。結局そのぐらいのことだったのかも、似てるなんてことは。大事なのは曲の良さをいかに引き出すかということだけなのか。ニカさんの書くうたは、歌詞もメロディも、我々の普段の日常にテンポにジャストで迫ってくる。我々の普段の生活のリズムに合ってるというのか。だからおもわず口ずさんじゃう。茶碗洗ってるときとか、掃除してるときとか、風呂はいってるときとか、トイレはいってるときとか。なんのストレスもなく口ずさんじゃう。これニカさんのすごい魅力的なとこ。こういうのは「日本人ならではのメロディ〜」なんていうのかも知れないけど、それはあまりいいたくないな。日本人だって多種多様になった。両親の影響でちっちゃい頃からレゲエばっか聴いてるひとだっているおもうしね。わたしだって頭の中で爆音でムーディーマン鳴らしながら仕事してる(ムーディーマンうたないけどね)。わたしは歌謡曲とか演歌などは積極的に聴くわけではないが、やっぱりこれはニカさんだから魅力的に出来るのかも。やっぱりセンスあるひとってのは、枠の外に光を当てることが出来るひとなのかも。またしてもそういうおもいになったよ。


2009-10-28 秋の夜長に〜センスとは〜


サウンドもオシャレ、笛がいいねー。尺八じゃなくて笛ね。なんだっけこの笛。フィドル?フルート?ちゃんと調べれば、分かるんだろうけど、なんか調べたくない。どうせ調べたってワクワクする答えなんてなさそうだからね。笛っぽいのいいね!っていったほうが、ニカさんの音楽には合いそう。笛っぽいのいいね。おしゃれ。ポールウェラーも使ってたしね。そういえばポールウェラーも、特にソロになってからは「まんまスティーヴィーウィンウッドじゃん」いわれれば、返すことばがない。「でもちがうよ、シャウトにパンク魂がこもってるんだよ」というような、わけのわからない、なんの根拠もない、そうとう偏った言葉しか返せない。でもポールウェラーのCDはいつもわたしの車にある。ポールウェラーディアンジェロはね。特にソロの3枚目まではいつも装備してる。いくら他のラインナップが代わっても、それだけはいつも代わらずに置いてある。それぐらいわたしの生活と共にしてきた。だから偏った愛情でもいい。音楽なんて結局そんなものだ。だからわたしには見えるんだよ。じつにはっきりと。彼のシャウトに、彼が10代の頃に"The Jam"というパンクバンドで叫んでいた魂が、じつにはっきりと見えるんだ。


ポールウェラー/サンフラワー