やましいたましい

音楽を中心に服、本、生活の話題など

ハイバイ「て」の感想

池袋 東京芸術劇場にて
表現というものは、何か創造的なものに自己投影して感動を得たりするものではという認識をブッ飛ばすほどのリアル感。ほんとにそのままの日常がそこにただゴロっと転がっているものを観せられた衝撃。こんな表現観たことない。圧巻の時間でした。
わたしは決してDVの家庭に育ったわけではありませんが、あの不条理な感覚は思い当たる節もあり、劇中涙をを堪えるのに必死でした。「手」というものは一つ一つの指が、絆であれ、憎しみであれ、決して離れることが出来ない家族の象徴。何一つ解決しないまま終わる感じもリアルさがあっていいと思いました。たとえすっきり終わったところで、このわたし達の日常は続けていかなくちゃいけない訳ですから。
大袈裟じゃないく自分がどうして自分なのかが分かった気がした。ほんとにみたくないものをみせられた感もありましたが、これ必要だったかも。一緒に観にいってくれた嫁はいまだに感想を言いません。何となく聞いてみても言葉が返ってこない。「泣いたんだよね〜」といったら「そうなんだ〜」と驚いてました。やはり合う合わないってのがあるかも知れません。基本的に笑える要素もあるので、反動で思いっきり笑ったり、感情が乱高下する不思議な体験でした。その感覚は悪くないです。
私小説ならぬ私演劇といわれてるみたいですが、ここまでそのままの日常がそのままみせつけられる表現は、わたしにははじめてでしたし、それを表現として成り立たせてるのがハイバイの凄さだと思いました。だって日常ってつまらないじゃないですか、たいがい。