やましいたましい

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KIMONOSという音楽

Kimonos

Kimonos


zazen boysの向井くんとLEO今井が組んだユニット「KIMONOS」がすごくいい。すばらしい。こういう音楽を聴いてると、ほんとはその言葉しか出てこなくて、じつはもうそれでいいような気もするが、まあ何の役にたつやら、誰のためでもない意味合いや分析をしてしまいたくなるわけですが。おそらく自分の中じゃ今年のベスト!はやくもいっちゃう。よく考えてみれば他にもあるかもしれないが、とりあえずそうおもう。なんかこう、いきおいですから。わたしはzazenの4枚目より聴いてます。
お互いがかなり独自性のある確固たる音楽を確立しているにもかかわらず、互いの個性を打ち消すどころか、じつにうまく調和してる。とくに向井くんなんかは、今、いちばん自分がやりたい音楽を、このKimonosで、じつはやりきっちゃってるんじゃないだろうか。そのくらいクオリティ高いし、意気込みがんじられる。キーワードは80年代。80年代再構築。お互いの音楽性からすると、この興味の方向性は自然な流れだとおもうけど、今回はそれがよりはっきり出てる。基本的にサウンドは(音質なんかは特に)向井くんがコントロールしてるっぽくて、その上をLEO今井が自由に泳ぎまわってるかんじなんだけど、今回おどろいたのは、今まで気づかなかったんだだけど、LEO今井のヴォーカルがデビットバーンそっくりだってこと。特に一曲目”No Modern Animal”なんかは顕著で、この音楽性とともに、ブライアンイーノが聴いたらびっくりするんじゃないだろうか。”Soundtrack To Murder”は大人になったスティングの目線でやったポリスみたいだし、”Miss”はダニエルラノワにたのんだら、そのまま80年代のU2のようなかんじなっちゃいそうな骨格の曲だ。童謡のような和のメロディなのにサビの英詞の部分になるとハッとするほど美しい旋律に変わる”The Girl In The Kimono Dress”もすばらしい。そしてなんといっても”Almost Human”。それぞれお互いの音楽にもなかった、しかも互いの個性がじつにうまく調和したあたらしい音楽になっている。おそらく彼らの代表曲になるだろう。



彼らはけっして80年代の焼き直しをしているわけではない。そこらへんは最近話題のTHE DRUMSなどとはまったく違うところだ。なぜならひたすらクールなリズムトラックは、むしろセオパリッシュなどのデトロイトハウスのような質感だし、リズムをループさせていく感覚はむしろHIPHOP以降のものだ。そしてわたしがおもう80年代の音楽の特徴は、ちょっと専門的になるが、2拍、4拍のスネアが異様にでかく、なんか人工的、そしてベースがすごく希薄な印象があるが、”Almost Human”などはジャジーなベースが雄弁にかたり、裏の主役のようにグイグイ引っ張ってる。あくまで自分達がいままで積み重ねてきた音楽性の上に、今興味ある音楽をまた積み重ねてるかんじがあって、そこがわたしがいちばんかっこいいおもうところだ。だからこそ、この奇妙で、聴いたことないような新鮮な音楽をつくれるだろうとおもう。とにかくすばらしいし、その真摯な態度に感服します。代表曲は”Almost Human”や”Soundtrack To Murder”になるんだろうけど、わたしにとってのこのアルバムのベストは”Mogura ”。リフ一発でおしまくる男気あふれる曲ですが、わたしはこの曲をフロアでかけながら夜通しおどり狂いたい。もうぜんぜんそんな歳じゃないですけど。でもそんな気分にさせてくれる曲なのだ。少なくてもわたしはこの曲を車でかけながら、かな〜りウキウキしています。





『貴方は言う「私はくだらぬ人間です」 容易い それを言うのはあまりに容易い』 
                                      ”Almost Human”





KIMONOSは歌詞もすばらしい。

しばらくはずっと聴きつづけそうです。