やましいたましい

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12月8日〜War Is Over ! If you Want It 〜

わたしは、そうとう音楽が好きで、じつにいろいろな音楽を聴いてきたので、たまにそういった話になると、いちばん好きな音楽は何かと聞かれることがままある。わたしはそういった時は、とりあえずビートルズと答えることにしている。とりあえずというのは、いまだに毎日ビートルズをヘビロテでガンガン聴いている。というわけではないからだ。わたしも、その時その時の自分の中での旬な音楽(いまはKIMONOS!)をいつもガッツリ聴いている方だし、それはときにビートルズとはまったく無縁な音楽だったりもする。じゃあなぜかと言われれば、やはりふり返って考えてみても、ほとんどのいまのポップソングのもとが、ビートルズにあるといってもいいくらいの幅広い音楽性だし、そしてなによりも驚くのは、デビューアルバムから最後に出した”LET IT BE"まで、いっさい捨て曲なし、しかも一曲ごとに高水準な夢の10割バッター。こんなの後にも先にもビートルズだけだからだ。もうそこはダントツなのだ。
そんなビートルズのリーダーだったジョンレノン。今日は彼の命日でもある。なにやら今年は没後30年、生誕70年という節目の年らしく、本屋に行けば記念の本が出てたり、テレビを点ければ特集されたりして、よく目にする。そんな彼の言葉で”War Is Over ! If you Want It ”という言葉がある。「戦争は終わるよ。あなたがそれを望むなら」という意味だが、最近久しぶりこの言葉を耳にして、昔聞いた時とはずいぶん違った感覚で胸に響いてきたことに自分でも少し驚いてしまった。むかしは、それこそ18歳くらいに耳にしたときは、皮肉屋ジョンのいつもの言葉の言い回しをわかりつつも「もちろんオレも望んでるよ。やっぱいいこと言うなぁジョンは」なんてかるく受け止めてたが、いまさらになってずいぶん重苦しくしく響いてくる。なぜなら漠然と戦争が終わったらいいなんて、きっと誰しもがおもってることで、それこそ北朝鮮のひとだっておもっていることで、それぞれがそれぞれ正しくあろうとした結果が、いまの世の中のカタチになってしまっているとおもうからだ。
わたしはいま、数十人いる職場の人たちの中で働いているわけだが、その中でどうしても反りが合わない人がいる。最近入ってきたひとなのだが、どうもその人の仕事のやり方が気に入らないのだ。いや、じつは仕事にかこつけて言っているだけで、単に合わないってだけなのかも知れない。まあどの職場にもひとりはいて、それこそ人生においては誰でもひとりやふたりはいた経験があるとはおもうが、まあそういうひとがいる。わたしがおもうってことは、向こうも勿論そうおもっているわけで、普段はお互いふれ合わないようにしているのだが、どうしても仕事で一緒にならなければいけない時なんかは、まあ重苦しい空気の中、お互い言葉を選んでやってるわけなんだけど、それでも相手の微妙な発言や行動に、いちいち心がざわついたり、押し殺したりするわけです。ここで、例えばわたし個人が一つの国で、わたしの働いている職場が世界だとする。わたしにもめちゃめちゃ仲のよい人が何人かいるので、その人たちはさしづめ同盟国か(条約結んでないけどね)。あとは結構みんなと仲はいいので、友好国あたりになるのかな。例の相手のひとも、そんな傍若無人ではないし、お子さんひとり育てているという立派なところもあるので、何人か仲のいい人もいる。仕事的に損害をあたえる人ってわけではないので、ぜんぜん居たっていいのだ。ただわたしは、その相手とやり取りをするとき、微妙な発言に心がざわつく時、どうにも怒りがこみ上げてくるとき、それでも望むことが出来るのだろうか。”War Is Over ! If you Want It ”こうなるとこの言葉がだんぜん重く響いてくる。特に”If you Want It ”。わたしがその時その言葉を受け入れるには、結構いろんなおもいを押し殺さなくてはいけないとおもう。まあジョンもおもいつきですぐ行動するひとだったみたいだし、そこまで深くは考えてないかもしれないけど。それこそ”How do you Sleep ”なんてもうひどい曲も書いているわけだしね。
いま世界にある原子力爆弾は、むかし日本に落ちたそれとは違って、全世界を7回も8回も消滅する力を持っているという。それならもうそれさえ持ってれば、他の武器とかいらないじゃんっておもったりするけど、わたしはけしてそうではないとおもう。それはやはり大人の世界だから。やっぱ大人はやっちゃいけないことはやっちゃいけないし。言っちゃいけないことは言っちゃいけないんだよ。トドメは刺しちゃダメなんだよけして。だからこれからも核兵器のボタンを押すってことはないだろし、使われることはないとおもう。世界が大人であるかぎり。わたしも例の相手にもトドメを刺すってことはしない。トドメを刺しちゃダメなことぐらいは知ってるつもりだ。言いたいことはたくさんあるけど(ごめ〜ん)。わたしがおもう大人とはそういうことだ。
だから今回、かなり大きい代償だったけど、そこらへん身をもってわかったんじゃないかな。カニぞう、いやえびぞうさんは(結局それ!)。


”War Is Over ! If you Want It ”