やましいたましい

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おしゃれはガマン

あたらしく買ってきた靴クリームがうまくいって、ずっと履いていた革靴がよみがえった。なんかおもいのほかうれしい。もう5年ぐらい前にマルイのバーゲンで1万ちょいで買ったやつだ。大事にはいてると何かとモツものだ。というかなんかよりいっそう味が出てきた。いいぞ!わたしの革靴たち。
もうだいぶ前から、ジーンズや革製品などの、だいじに育てていけばなお味が出てくるような物にガゼン惹かれてきてる。安けりゃいいってものじゃない。もちろん高けりゃいいってもんじゃないけどね。そんなこと、ほんとにお金のなかった若い頃には言えなかったことだけど。そりゃ、うんと高いものはダメだけど、安いものをどんどん消費していくよりは、少々高いものでも、ほんと自分がいいものであれば、ちょっと無理してでもがんばる。そして長持ちさせる。意識的ではなかったんだけれど、なんだかそういう風になってきた。こないだビームスのアウトレットで、YOSHIHARU HASWGAWA(以下YH)の革靴が半値以下になっていて、さんざん悩んだけど、ちょうかっこいいんで買ってしまった。そこらへんからなんかあれだな。ちょっとブーム。今まさに革靴ブーム到来。
最近雑誌でみた、全身ユニクロなのにクツだけブッテロってのにグッときた。ユニクロほんといいんだけど、あたまからパーンと下までカジュアルできて、最後ブッテロみたいな本物の革靴でバシッとしめる、そこにグッときた。そこらへんはめざす。めざすとこだな。わたしにとって、そのブッテロの役回りはちょうかっこいいYHの革グツってことで。そんなこんなで、YHの革靴を履きはじめてるんだけど、とにかくいい靴で足にフィットしてるはいいけど、なんかあれね、すごいスベる。すべるすべる。特にロビー的なとことか、ツルツルすべるわけで。なんかこう、路上がいっきょにアイスバーン的なものにかんじるわけです。ビームスの店長も「最初はすべりますよ」とニコッとしてたけど、あの笑顔のうらになにかあるとおもってたけど、ここまでスベるとは。けっこうすました顔して実はおじさんたいへんよ。大変すぎてヘンタイよ(奥田民生の名曲「それはなにかとたずねたら」より)

それにしても歩く。不安定だがそれなりに歩く。ぎこちない。なかなかの大変さだ。そんなときわたしのあたまにこだまするのは、5年前にいっしょに働いたおしゃれ番長O君のことば「おしゃれの基本は薄着だ」である。真冬のさなかだったが、最高級のダウン”モンクレール”の下、シャツ一枚の彼の姿は、なにかどこか情けなく、悲しくもあり、しかしかがやいてみえた。あれはおそらく、おしゃれはガマンだ、その先にこそ得られるものがあるという意味だ。かんがえてみれば、スキニーであれ、細身のシャツであれみんなキュウクツだ。わたしのこのクツも、「雨の日は履かないでください」と例の店長にクギをさされた。雨の日は履けない。一週間に一回は手入れをしなくてはいけない。なによりツルツルすべって履きにくい。二重苦、三重苦だ。じつは今すぐにでもアディダスのスニーカーにもどりたい。
しかしわたしは歩く。どんどん歩く。ぎこちない姿勢を正しながら。もっともっと歩く。きっと似合ってないかも知れない。しかしときどきショウウィンドウにうつるわたしのクツはめっちゃかっこいい。
だからわたしは歩く。あたまの中で鳴る、「おしゃれはガマンだ」
そうだ、そうなのだ。その先にあることこそが、おしゃれを見つめるわたしの目だ。



そんなときの、わたしのテーマソングはやはり、永遠のマスターピース
フィッシュマンズのWalking in the Rhythm

WALKING IN THE RHYTHM

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