やましいたましい

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ドラえもん幻想

普段はパートの女の子にコピーをお願いしているのだが、むこうに用事もあったので、ついでにコピーでもとってきてやろうと、職場のみんなに声をかけると、来るわ来るわ待ってましたとばかりに依頼の雨、いや波状攻撃が。みんな自分のことじゃないと言いたい放題。ここぞとばかりに20部、30部と要求してくる。またたく間に300枚はとるハメになった。それにちゃっかりパートの女の子も乗っかってきているではないか。おいキミ!キミはオレの中でちゃっかり度急上昇のちゃっかりガールだ!
これは長丁場になりそうだ、とおもいながらその場所にむかう。というのはウチの部署にはコピー機がないのだ。だからいつも検査課という部所にあるコピー機を利用させてもらっている。事情は知られているので、いつも快く受け入れてもらっているが、なにせ他部所だ。やはり気を使う。それに300枚もだ。これはさすがにどうなんだろう。まあダメだといわれる気はしなかったが、この長丁場、割り込みはあるだろう。わたしは少しでもコピーをとりたいという人があらわれれば、すぐにでもゆずれるような姿勢、スタンスでその作業にのぞんだ。
作業にかかって、すぐにある疑問にぶち当たった。それはからだの姿勢、待ってる体勢のことである。コピーをとるといっても、実際作業するのは機械がやるので、こちらがやるのは終わった紙をすり替えたり整える程度で、あとはほとんど「待ち」の作業なのだ。ただ日向ぼっこのようにぼうっと立っててもいいのだろうか、とわたしはおもった。まわりの掲示板を見てもすぐに飽きるだろうし、だいいち他部所でキョロキョロするのは失礼だろう。あれこれ考えてるうちに、わたしのあたまにある人のことばが浮かんだ。「田村でも金、谷のたまきん」いや、「ママでも金」の時のヤワラちゃんのことばである。
「子育てしながらでも、練習ができるんですよ〜、たとえば、おんぶしたまま、うで立てとか・・・」
それだ。何かしながらトレーニング。まさに一石二鳥ではないか。よし、この同じ姿勢で待っている間、つま先立ちでもして足の筋肉でも鍛えるか。いやいやまずい。ただでさえ人の往来のはげしいこのコピー機周辺で、つま先立ちで立っているのは目立つだろう。すぐにうわさの的になってしまう。それではこれはどうだ。同じ場所に直立でいるのも以外と疲れるもの。逆にエコ的なかんじで、なるべく体力を消耗させない疲れにくい立ち方などないものか。するとまたまたわたしのあたまにある人のことばが浮かんできた。それは大昔、コンビニのアルバイト先で一緒に働いたKくんのことばである。
「レジ打ちのようなぁ、同じ場所に立っている姿勢でぇ、いちばん疲れないのは、両足を肩幅の広さまで開いて、均等に体重をかけることっすよ」
これだ。これでいこう。エコ走り、エコ睡眠とくりゃ、「エコ立ちってのもあるんだよキミ」とこころの中で叫びながら、わたしはゆっくりと両足を肩幅の広さまでひろげた。


300枚という長丁場のコピーをしていると、まぁ様々なことがあるわけで、まずコピーの用紙切れ、紙づまり、はだしでゾウリを履いているお偉いさん風の人の、女子社員に無理やり足のにおいをかがせようとし拒否られる陽気なパワハラ、それとドラ焼きのにおいまでしてくる。
「なぬ、ドラ焼きのにおい」
いやいやおかしいおかしい。この検査課という神聖な職場の中で、消毒薬のにおいはあっても、まさかドラ焼きのにおいなどあるわけがない。
巻き戻してみよう。
・・・・〜コピーをしていると、まぁ様々なことがあるわけで、まずコピーの用紙切れ、紙づまり、はだしでゾウリを履いているお偉いさん風の人の、女子社員に無理やり足のにおいをかがせようとし拒否られる陽気なパワハラ、それとドラ焼きのにおいまでしてくる。
あれ、やっぱりドラ焼きのにおいしてる。わたしはにおいのもとを確かめようと、その方向を探ってみた。するとコピー機が設置されている場所の前の、通路をはさんで、ちょうど向かい側に大きな棚があり、その向こうに、なにやら応接風のテーブルがあって、なんと大量のドラ焼きがはだかで積んであるではないか。これから休憩?なにかの話し合い?それにしてもなんであんなにドラ焼きがあるだろう。わたしはかんがえた。
まさかドラえもんがいるわけでもあるまいし。あはは。わたしは、そこで本気でドラえもんを探そうとキョロキョロするほどドリーミーな、いたいおじさんではなかったが、いちおうシャレでキョロキョロしてるふりをしてみた。すこし浮かれてたのかもしれない。すると、するどい視線に気づき、ハッとわれに返りその方向を見てみた。

そこには、「ドラえもん」みたいなおばちゃんが立っていた。
かしこ




ドラえもんほどじゃないが、ユメのある曲を一発!

LONG SEASON

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