やましいたましい

音楽を中心に服、本、生活の話題など

レプリカモデル〜ラファエルサディークの新作によせて〜

ラファエル・サディーク /デイ・ドリームズ




THE DRUMS(ザ ドラムス)のアナクロニズム的な懐古趣味なサウンドに、違和感を覚えるどころか、断固否定したい気持ちになる一方、この前作から突如はじまった、ラファエルサディークのレイドバックなサウンド回帰な姿勢には、おもわず、かっこいいなとおもってしまう。これはもはや偏見どころの何ものでもないんだろうな。まったく今を感じさせないサウンドの追求。わたしは評論家ではないので、えらそうなこといえませんが、わたしなりに分析すると、このラファエルの姿勢は、ちょうどジーンズでいえば、名作のヴィンテージのレプリカモデルを作ろうとしてる姿勢に近いのかなとおもう。なんかちょいおしゃれだし、そこもふくめて、やっぱ小気味いいサウンドがかっこいいよ。
ジーンズといえばリーバイスの501。そのヴィンテージでいちばんシルエットがきれいだとされているのが、1947年のモデルで、じつは現行(今発売されてる、キムタクが宣伝してたやつね)のリーバイス501のシルエットは、この1947年のヴィンテージモデルを参考にされてるらしい。今となっては何十万と価値が付いた501ヴィンテージに夢を馳せる者。シルエットも評判がいいし、最新型の現行の501でじゅうぶん満足してる者。しかし中には、当時とおなじ生地を使い、当時とおなじ織機で、おなじやり方でヴィンテージを再現しようとする者もいる。いわゆるレプリカモデルだ。もはや骨董品扱いみたくなってるヴィンテージよりも、当時の物を当時の感覚でガンガン穿きこなしたい。その感覚はわたしにはすごくよく理解できるし、現にレプリカの方が、こだわりのある人には現行のものよりも人気があったりする。
そう考えると、いまのラファエルサディークの姿勢は妙に納得できるし、じつはレイドバックといえども、サウンドの形にではないが、ベースの含めた、リズムの捕らえ方の感覚は、細かくいえば、まさにHIPHOPの感覚を通したものであるし、50年代、60年代の音楽を再現してるとはいえ、わたしがかんじる、その時代の音楽にありがちな、妙な野暮ったさがない分、ほんとにおいしいところだけもってきた、じつにかっこいい音楽になっている。「むかしの音楽って、こんなにかっこいいんだぜ!!」と、いわずもがな音で語ってる、ラファエルの笑顔が目に浮かぶようである。


リーバイス 47-501 レプリカモデル