やましいたましい

音楽を中心に服、本、生活の話題など

断捨離ちょっと待ったー!

しわっす!(師走)
特にこんなことば流行ってないけど、なんか言ってみた。
年末といえば大掃除。今年は自分でもずいぶんはやく終わった。ばっちし。断捨離などというはじめて聞いたことばが何気に流行ったからなのか、ガンガン事がすすんだ。なにしろ捨てる勇気である。わたしはこの言葉の名のもとに、それこそ家中のあらゆるガラクタを捨てたり、リサイクルに売ったりしてきたが、ひとつおもいとどまった物もある。レコードプレーヤーである。これはうれしい年末の出来事のひとつである。今わたしは、これも欲しくてやっと最近手に入れた念願のカリモク60のソファー(それもかっちょええブラック)にゆったり座り、ビリーホリディや古いソウルなどのアナログ盤を夜な夜な聴き酔いしれるという楽しみを満喫している。ほんとおもい留まってよかったよ。
なぜ踏みとどまったかというと、当日あてにして用意したダンボール箱にほんのギリで入らなかったからである。ただそれだけである。わたしはそれでもプチプチのビニールでも巻いて、近くのリサイクルショップにでも持っていこうかとおもってはいたが、そのうち「この際だからいっちょメンテナンスでもしてみるか」という考えがフツフツと湧き上がってきた。そのレコードプレーヤーは2,3年前に、配線のジャックの部分がおかしいのか、急に聴けなくなってずっとそのままにしていたものだ。その時わたしは、なぜかいつになく気合が入っていた。ちょうどその日は日曜の午前中、まだ日が暮れるまでには時間がたっぷりある。本腰入れてメンテナンスしてみて、それでダメなら、あらためて今度はリサイクルショップにでも持っていけばいいじゃないか。それからでもぜんぜん遅くない。わたしはそうすることにした。それからは、綿棒まで使ってホコリをとったり、5000番台くらいのサンドペーパーでジャックの中を軽く削るように掃除したり、また、軽く油をつけてみたりと、おもい付く限りの掃除をほどこした。その甲斐もあって、なんとプレーヤーが復活して、見事にまたアナログ盤を聴くことが出来たのだ。暮れの元気なアナログlife。うれしー。まったく再びレコードがスピーカーから鳴り出した瞬間の、小躍りしたほどのわたしのうれしい気持ちったらなかった。だからわたしはここであえてちょっとばかし提案したいのである。断捨離もいいし、捨てる勇気もまったくもって異論はないけれど、真逆になってしまうが「おもいとどまる勇気」というのも必要ではないかと。なぜならわたしはそのその完全に捨てる気満々だったアナログプレーヤーで、これ以上ないくらいの至福の時を謳歌しているからである。
このことについて、きわめてキワキワに真剣に考えた時、そもそも「いらない物」ということについて、わたしたちは新たな理解を得ることなる。それはたとえば、普段わたしたちが、「いらない物」と括っているものは、「使うあてのないいらない」物と「ただめんどくさいからいらない」物とにおおきく二つに大別出来るということである。「使うあてのないもの」とは、ようは「いつか使うかも知れないからとりあえずとって置く」という例のあれである。しかしみなさんも経験あるとおもうが、このいっけんもったいない精神に根ざした善行のようにみえる行為が、ついに実を結ぶことはほとんどない。1年、2年、いやもしくは4年に1回ぐらい「とっといてよかった」おもうことがある程度である。つまりわたしたちは、その結局使うことなどない膨大な量のガラクタに囲まれ、ときにはそのせいできれいに片付けられないなどの、居心地の悪い原因を抱えながら、それに気づかず生活をしていたりするのである。そう、ようは捨てる勇気である。と、ここまでは今年流行った考え方。
しかしそこにわたしが一石を投じたいのが、もう一方にある「ただめんどくさいからいらない」という物のほうである。それは、もし、その物を熟知し、完全に使いこなすことが出来たりさえすれば、ものすごく便利なものであり、その人の生活に役立つものであるにも係わらず、ただもう「めんどくさい」からという理由で使いこなすことが出来ず、結局自分の中でいらない物ということにしている、というものである。説明書がいまいち読むのがめんどくさくて、使い切れないDAWソフトや、喜び勇んで買ったはいいが、いまいち押入れの中で眠っている楽器たち。ほらほらあなたもおもい出してきたでしょう。洗うのがいちいち面倒くさくなって、戸棚の奥にひっそりしているミキサーや、いまや押入れの奥にしまった通販で買った健康器具。それらは本当にいらない物なのか。面倒くさがらなけでばミキサーなんかは、いまの健康ブームに乗り切れるいい相棒になるものではないのか。もしあなたがもう一回、こんどは腰を据えて取り組んでみれば、その「いらない」とされてた物が、じつはあなたの人生に潤いをあたえるものかもしれないのだ。
そんなことを考えながら、わたしは愛しのカリモク60のソファーに座りながら、夜な夜なアナログ盤のヴァンモリソンを聴きながら、そんな自分に酔っているのである。
それが、年末もおしせまっているこんなときに、傍若無人な意見を述べるわたしの、暮れの元気なごあいさつである。
どうかみなさんよいお年を。
かしこ





魂のブルース。やっぱヴァンモリソンは名盤「アウストラルウィークス」がさいこう!



アストラル・ウィークス

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