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クロスロードって

今年の夏には出るはずのディアンジェロの新作はまだまだ出る様子もなく、季節はもう秋も終わりですけど。john mayerの新しいアルバムは予定通り発売されました。
まずはこれ、先行に出たシングルのPV

ブログでは特に新しい音楽のことを書いたりしてましたが(自分でしばってるだけなんですけど)、実は最近ガンガン聴いていたのはBob DylanのBestのvol'2(曲順とかも含めて最高)とか初期のTom waitsだったりしたので、何ともそんな雰囲気もあったりしてわたしはおおいに気に入ってます。

それだけに相当期待して待ってましたよ。発売日までまだ時間があるので、わたしは情報収集により入手した曲目のリストを眺めながらあれこれ想像することにした。わたしは本当に楽しみだとたまにそういうことをすることもあり、以外とそれで雰囲気なんかはつかめたりするものなのだ。例えば「Boys&Girls」という曲で陰鬱な不機嫌な曲はまずないだろうし、「Anarchy in the U.K.」まで言ってまさか、さわやかなのはねー。でもradioheadの「Lucky」はめちゃめちゃ暗い曲です。
そのようにしてマジマジと曲目を眺めていると、なんかわたしにはどうにも複雑な気分になってきた。わたしにはワクワクするようなタイトルは一つもなかったからである。それどころかその中の曲にあれ?っと2度見、3度見と目が留まった。クロスロードとある。補足の説明では、どうやら「クロスロード」をカバーしてるらしい。

「クロスロードって、あのクロスロードなのか」
「よりによって、なんでいまクロスロード」
「どうやったってすべりそうじゃないか」

わたしの世代にとっての「クロスロード」とは、もうエリッククラプトンが確立し、定番化し、消費しつくされた存在の曲だ。例えていうならば、人気絶頂のお笑い芸人が新ネタとして猪木のモノマネをするようなものである。アントニオ猪木のモノマネとは、もう元ネタが誰なのかわからないぐらい定番化し、今やそこら辺の素人がやってもまあそこそこ似せることができるほど消費化され陳腐化している、いわばモノマネの象徴のような存在だ。そのようなものを新ネタだと披露しようとしたらどうだろう。せっかく身を乗り出した腰もおもわずすぼんでしまう。「え、なんで?」という違和感とともに。
わたしはもう単純にjohn mayerのファンなので、まあたぶん「まんま」はやらないだろうと。もしや元曲の「ロバジョ」ことRobert Johnsonまでさかのぼって独自の解釈をひっさげてやってくれるんじゃないだろうか。わたしもRobert Johnsonは大好きだし「クロスロード」といえばやっぱこの人だとおもう。でもたぶんそれも違うだろう。数年前クラプトンと共演して一緒に「クロスロード」をやったりしてるからね。もともとjohn mayerのカバーセンスをいうのはわたしは評価していた。Jimi Hendrix をカバーするときでも Little Wing でもVoodoo Childでもなく、Bold As LoveやWait Until Tomorrow をやるあたり。なにか今まで当たってないところに光をあててる感じがしたし、mayerがカバーすることでよりソリットな感じに仕上がり「こんなにいい曲だったのね〜」とおもえたのは発見でもあった。それだけにわたしは混乱した。聴く前からいったいどうなるんだろうと。なんとなくテンション低めだった。もうアマゾンに予約もしていたからだ。

アルバムが家に到着して、おそるおそるCDをかける。1曲目の壮大な感じにびっくりし、これは80年代の頃のU2だなとおもった。ここ何年もだけど、いたるところでいたる音楽に80年代のU2の影をみることがあって、やっぱり80年代のU2ってのはすごかったんだなと再認識したりする。あとはずっと聴きすすめながら、あ〜だの、う〜んだの、なるほど!などとおもいながら聴き終えた。
アルバムよかったです。期待したかんじとはぜんぜん違いましたけど。すごくバラエティにとんでて、1曲1曲のクオリティがものすごく高いウェルメイドな作品だとおもいました。例の「クロスロード」はやはりクラプトンのアレンジのまんまにちょっとコショウ程度にソウルスパイスを効かせたものでしたが、他の曲がバラエティにとんでるので違和感なく聴けました。なのでWHO SAYSみたいな曲はWHO SAYSしかなかったです。ただ驚くことは一つもなく、john mayerはやっぱりイノベーダーではないのかもしれないとおもった。それは自分のなかでは非常に残念なことですけど。

実際演奏しているところみると、このギターの音を自分で出してそれもうたってるってのはすごいですね。驚きにも似た感動があります。やっぱりjohn mayerという人は映像でみてはじめて凄さがわかるのかもしれないですね。

Battle Studies

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