やましいたましい

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カエターノヴェローゾ 67歳

ジー・イ・ジー

ジー・イ・ジー

「今、カエターノがすごいことなってますよ」と教えてくれたのは、行きつけの立川の中古CD屋「珍屋」のメガネのおにいちゃん。ちょうどその日は隅から隅まで探しても気に入ったCDがなく、苦し紛れに思い出した一言だった。「あっ、カエターノの中古とかないっすかね」「カエターノとか、あんまり入ってこないですね」すばやい切り返しだった。そうなのである。オレも正直あんまり見たことがない。前に一度見たことはあるが、訳の分からないしょうもないBEST盤だった。それにカエターノをはじめブラジルの音楽は輸入盤でもなぜか2千円以上はする。なんでよ!輸入盤って安いとこがいいとこなのに。さんざん悩んで大枚はたいて買った昔の記憶がよみがえった。もうちょっと安くならないのか。ピアソラなんか10枚組で2000円という破格値でオレは買ったことがあるぞ。それもどうかと思うけど。びっくりして当時タワレコのおねえちゃんに何度も確認したことも思い出した。
でもメガネのおにいちゃんはカエターノが好きらしく、結構ノリノリな感じで最近のカエターノ事情を教えてくれた。聞けば、ここ何年かのカエターノヴェローゾは、今まで慣れ親しんだスタイルを捨てて、息子のモレーノをプロデューサーに迎え、その幼なじみのペドロ・サーなど若い世代でつくったバンド(ギター、ベース、ドラムとあとちょこっとのシンプルなバンド形成)とアルバムを作っていたらしい。しかもそれがことのほかうまくいったらしく、今回出るのが、その同じバンド編成でさらに進化させた第2弾だという。
もう聞いているそばからもう完全にこれはいいに違いないと確信していた。サンキューメガネのおにいちゃん!いつも親切にありがとう。でも今日はここでは何も買わないよ。なぜなら今からオレはそれを買いにHMVにひた走るつもりだから。なぜならここにはそれは売ってないから。なぜならもう心はここにはないですから。でもゆるしてくれメガネのおにいちゃん。いや、もうおじさんかもしれないけど。いつもセンスのいい音楽を紹介してくれてありがたいと思ってるよ、でもあんまり快くすすめてくれるもんだから、断るのがヘタクソなオレは、たいしていいと思わなかったCDも今2枚ほど家にいたりするから。

アルバム最高に良かったです。思った通りのシンプルな感じで必要な音以外鳴らさないぞって気迫が伝わってくる。ギター、ベース、ドラムといういわゆるロックバンドのシンプル編成だが、それでブラジルの音楽をやろうとするむちゃくちゃな発想でやってるので、なんとも聴いたことのない奇妙な音楽に仕上がっている。例えるなら、一見普通の車に見えるが、近づいてよくみてみると、ひとつひとつの部品がみたこともないような部品で出来てるような感じ。しかもカエターノがしっかり歌いきっている。これがスタンダードなんだぜっていうくらいに。説得力あります。かつてブラジルのジョンレノンといわれた男。今、67歳。ボブディランもすごいが、カエターノも負けてない。


赤、黄、青、黒子。服装がみごとにかぶってない。カエターノのまちゃあき的な圧力か