やましいたましい

音楽を中心に服、本、生活の話題など

老人ホームにて

先日、老人ホームに母方のばあちゃんに会いに行ってきた。
場所を案内してもらう為にまず、おばさんの家に行ったんだけど、おばさんとも実に2年ぶりでなんか懐かしかった。快く迎えてくれたのは大変うれしかったが、オレはどうも世間話などの大人的なトークがこの歳になってもうまくない。オレの会話だけ完全に浮いてたな。話してるそばから自分でもわかって、恥じるのをこえて笑いそうになった。全くおもうような大人には全然なってないな。まあ、厳しくみれば一緒に行ったおやじも多少浮いてたけど。

「何にもないですけど」と言いながらおばさんがそばを出してきた。オレはしまったとおもった。なぜならついさっき小腹が空いたと立ち食いそばを食ってきたばかりだったからだ。うまかった。もっと言うと夜はうどんの名店に行くことになっている。おやじは他には聞こえないように「メン、メン、メンだな」となぜかうれしそうに言った。いーのかそれで!しかし心配はよそに、二杯目のそばも意外といけて、心からおばさんにうまかったですと言えたのはよかった。

ばあちゃんはほんとよくしゃべって元気そうだった。聞いてた通り、様子がおかしいのはすぐわかった。なぜなら、ばあちゃんは寡黙な人だからだ。寡黙な人はしゃべらない時は何も考えてないわけではない。必要なこと以外しゃべらないだけだ。今のばあちゃんはそのフィルターがはずれたかのごとくよくしゃべってた。ほんと一から十までよくしゃべった。オレは、ばあちゃんのひたすら繰り返す同じ質問に、同じように毎回答えた。なんかよかったな。

帰りがけ「また来るよ!」とばあちゃんにあいさつした。おばさんは「この次まで覚えているといいけど」と言った。冗談じゃない。忘れたってぜんぜんいいさ。大事なのはこの瞬間を刻むことだろ。

広いロビーにある、いびつな形のテーブルに、車椅子の老人と手馴れた職員しかいない。さながら映画「カッコーの巣の上で」のようなこの老人ホームに、腹をくくって入っていったばあちゃんにリスペクト!

ソリットでこれ以上ないくらいの最大の賛辞をこめて、おばあちゃん100歳の誕生日おめでとう